説明
シベリウスの音楽としては、やや濃厚で暗めだがシベリウスに相応しい冷涼な味わいにも不足しない。この味わいの濃さは、カラヤンの個性に間違いない。
生きたサウンドを満喫するなら絶対これ。シベリウスらしいかどうか、それはシベリウスの音楽に求めているものが聞き手それぞれだからなのだけれども、この演奏は鳥肌モノ。1960年代のカラヤンとベルリン・フィルの豪快で凄く立派なシベリウスの音楽になっています。
とにかくダイナミックスの幅が広く鮮やかで迫力満点。牧歌的な部分から迫力ある部分まで表現の幅が広く、リズムも引き締まっています。演奏はオーケストラに合奏の完璧な正確さを要求し、それにオーケストラも応えている。それはカラヤンと演奏を作り上げていくのが楽団員みんなが楽しくて仕方がなさそうだ。音を徹底的に磨き上げることによって聴衆に陶酔感をもたらせ、さらにはダイナミズムと洗練さを同時に追求するスタイルでカラヤンの個性が濃厚で面白い。
クリスチャン・フェラスはカラヤンお気に入りのヴァイオリニストとして、1960年代 DGG のヴァイオリン名曲のレコーディングでの中心的存在でした。靭やかと一言で言われるその音色は清楚で良く歌って、しかも過剰なヴィヴラートに陥らない抑制された情熱と官能さえ感じさせて、瑞々しいテクニックがどこまでも爽やか。
シベリウスの音楽としては、やや濃厚で暗めだがシベリウスに相応しい冷涼な味わいにも不足しない。この味わいの濃さは、カラヤンの個性に間違いない。主張が明快で聴いていて楽しいだけだ。
フェラスの実に美しい情念っぽい高音が終始印象的。特に中間楽章のゆったりとした官能性はフェラスの独壇場と化していて、カラヤンのリードを奪っているが、しかしカラヤンリードはそれなりに効果的で、この曲を北欧の冷たさのみに終わらせていないのは流石というべきでしょう。そこがまたカラヤン節とも言える。そして、ライヴでの録音はありますが公式なセッション録音として唯一の録音です。1964年のステレオ録音。
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